奇妙なアルバイト体験記
2008年 07月 31日
こんにちは。
それでは久しぶりの日記です。
今日は夏ということもあり、ちょっと怖いお話。
その手の話が苦手な人はスルーしちゃってください。
あれは今から数年前の事でした。
俺の日記を読んでくれてる人なら知ってると思いますが
俺の知り合いにK田さんという経歴不詳の謎の人物がいました。
K田さんは俺に不可思議なバイトを紹介してくれたり、謎の人脈をお持ちだったり
理解しずらい部分が多い人でしたが、俺に頼みたい事があると唐突に言ってきたのです。
少し渋い表情をした俺に気付いたのか、K田さんが言う。
K田「そんな嫌そうな顔するなよ。ちゃんと謝礼だすしさ」
俺「でも、K田さんの頼みはろくな目に遭わないじゃないですか」
K田「考えすぎだって。楽しい思いもしてるだろ?」
確かにK田さんからの依頼は、普通に生活していれば
経験できないような体験ができるものが非常に多い。
そういう意味では非常に楽しいが、ろくな目にあわなかったりする。
命の危険やら、社会的に致命傷を喰らいそうなものから、単に笑えるものだったりと様々だ。
俺「どうせやる羽目になるんでしょ?」
K田「なんだよ。嫌ならいいんだぜ?ただし、この間に壊した車の弁償を・・・」
俺「・・・わかりましたよ。やればいいんでしょ。やれば」
過去に俺が彼の依頼を引き受けた際に、壊してしまった車の話を持ち出す。
K田「やっぱり話が早いね。義理堅いやつは」
それを世間では脅しという事に早く気付いてくれ。
内心でそんな事を思いながら、どんな事をやらされるんだと緊張がとまらない。
俺「ちなみに何をやるんですか?」
K田「簡単な事だよ。荷物を知り合いに届けて欲しいんだ」
俺「え?それだけ?」
K田「そうだよ。簡単だろ?」
ウ ソ ダ 。
この人が俺に頼みごとをしてくる時は、ろくな依頼じゃないはず。
その運ぶ荷物がまともじゃないか、危険があるかに決まってる。
俺「その荷物の中身はなんですか?違法性のある品とかですか?」
K田「そんなわけないだろ。俺は犯罪者じゃないんだぜ」
軽く肩をすくめながら、K田さんが答える。
K田「ただし・・・中身は教えられないけどな」
俺「どうしてですか?」
K田「そりゃ、お前。プライバシーってやつだよ」
にやにやと笑みを浮かべながら、楽しそうに言い放つ。
違法性がないとしても、どうせろくなもんじゃないんだろうな。
K田「あ、そうそう。中身は決してみるな・・・とは言わない。
1度だけなら見てもいい。ただし、2度は見ちゃ駄目だ」
俺「え?見ていいんですか?」
K田「あぁ。1度だけならな」
俺「へー。でも、1度見たら、2度見る必要ないじゃないですか」
俺が答えると、K田さんは口元に笑みを浮かべながら答える。
心なしか、その笑みは、ちょっと不気味な感じがした。
K田「そうかな?1度見たら、2度目が見たくなるんだよ。ソイツはな」
俺はK田さんの話に頭をひねった。
見ちゃいけないといわれるのなら分かるけど、1度だけなら見てもいいとはなんとも不思議な話。
1度見たら、何回見ようが変わるものじゃない気がするんだけど。
俺「なんで1度だけなんですか?呪われるとかそんな話ですか?」
俺が笑いながら、K田さんに問いかけると、真顔でこう答えた。
K田「呪われたりするわけないだろ。そんな非現実的な話はないよ」
俺「ですよねぇ」
K田「単に死ぬだけだよ」
俺「へ?」
自分で言うのもあれだが、間抜けな声が出た。
な、なんとおっしゃいましたか。アナタ。
死ぬとか言いませんでしたか?
ていうか、やっぱり違法性があるんじゃねーか。
・ ・ ・
K田「冗談だよ。冗談。単なる嗜好品さ」
あんたが言うと冗談に聞こえないんですけど。
俺はそう呟くと、差し出された荷物を受け取り、
受け渡し先の住所と連絡先を聞いて、そのまま届け先に向かう事にした。
届け先は、都内某所の住宅街の一角にある普通の一軒屋だった。
特に怪しげな雰囲気もないし、怖そうな人が出てくる家でもない。
インターホンを押すと、住人らしき女性が現れた。
俺「すいません。あたーんと申します。K田さんより、
こちらに届けるように言われた品をお持ちしたのですが、F島様はご在宅でしょうか?」
女性「F島なら外出中です。大変申し訳ありませんが、1時間後に出直していただけますか?その品は、私がお預かりするわけにはいかない品物ですので」
俺「・・・それでは、また改めます」
気になる。中の品物はなんだろうか。
身内らしい人なのに預ける事すら出来ない品物とはなんだろう。
1度だけは見てもいいと言ってたしな・・・・
う~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん。
悩むぜ。
ちなみに、この荷物は見た目は20cm四方くらいの桐の箱を
風呂敷で包んであるのだが、持つとそれなりに重さがあり、中はまったく想像もつかない。
俺は近場にある喫茶店に入り、F島さんとやらの帰りを待つ事にした。
本当に1時間で帰宅するんだろうか・・・延々と待たされたら、たまらない。
俺は注文を済ませると、テーブルの上に荷物をおき、暇つぶしの小説を読み始めた。
すると、何やら異様な臭いがするので、目を上げると、置いた荷物から何かが染み出している。
風呂敷が濡れていて、やや黒味のある水のようなものがテーブルの上に広がっていく。
俺「な、なんだこれ・・・」
俺は、ティッシュで慌てて、テーブルの上に広がった黒い水のようなものを噴いた。
異臭がするが、そんな事は言ってられない。
俺は荷物を手に取ると、会計を済ませて、そのまま店を出た。
怪しげな液体がこぼれだした箱を目にして、ますます中身が気になりだす。
もしかして、中身が壊れて何かが出たのだろうか。
それとも・・・。
俺「中を見てみるしかねーよな」
俺は近くにある神社に赴くと、その境内で風呂敷の包みを解いた。
桐の箱を縛る紐を解き、箱の上側にある蓋に手をかける。
ごくり・・と唾を飲み込む音が聞こえる。
俺「い、いいよな。開けちゃって・・・」
一回は見てもいいと言われたし、もう引き返せない。
高まる緊張感を抑えて、俺は蓋に手をかけると、そのまま持ち上げ、中を覗いた。
次回に続く。
それでは久しぶりの日記です。
今日は夏ということもあり、ちょっと怖いお話。
その手の話が苦手な人はスルーしちゃってください。
あれは今から数年前の事でした。
俺の日記を読んでくれてる人なら知ってると思いますが
俺の知り合いにK田さんという経歴不詳の謎の人物がいました。
K田さんは俺に不可思議なバイトを紹介してくれたり、謎の人脈をお持ちだったり
理解しずらい部分が多い人でしたが、俺に頼みたい事があると唐突に言ってきたのです。
少し渋い表情をした俺に気付いたのか、K田さんが言う。
K田「そんな嫌そうな顔するなよ。ちゃんと謝礼だすしさ」
俺「でも、K田さんの頼みはろくな目に遭わないじゃないですか」
K田「考えすぎだって。楽しい思いもしてるだろ?」
確かにK田さんからの依頼は、普通に生活していれば
経験できないような体験ができるものが非常に多い。
そういう意味では非常に楽しいが、ろくな目にあわなかったりする。
命の危険やら、社会的に致命傷を喰らいそうなものから、単に笑えるものだったりと様々だ。
俺「どうせやる羽目になるんでしょ?」
K田「なんだよ。嫌ならいいんだぜ?ただし、この間に壊した車の弁償を・・・」
俺「・・・わかりましたよ。やればいいんでしょ。やれば」
過去に俺が彼の依頼を引き受けた際に、壊してしまった車の話を持ち出す。
K田「やっぱり話が早いね。義理堅いやつは」
それを世間では脅しという事に早く気付いてくれ。
内心でそんな事を思いながら、どんな事をやらされるんだと緊張がとまらない。
俺「ちなみに何をやるんですか?」
K田「簡単な事だよ。荷物を知り合いに届けて欲しいんだ」
俺「え?それだけ?」
K田「そうだよ。簡単だろ?」
ウ ソ ダ 。
この人が俺に頼みごとをしてくる時は、ろくな依頼じゃないはず。
その運ぶ荷物がまともじゃないか、危険があるかに決まってる。
俺「その荷物の中身はなんですか?違法性のある品とかですか?」
K田「そんなわけないだろ。俺は犯罪者じゃないんだぜ」
軽く肩をすくめながら、K田さんが答える。
K田「ただし・・・中身は教えられないけどな」
俺「どうしてですか?」
K田「そりゃ、お前。プライバシーってやつだよ」
にやにやと笑みを浮かべながら、楽しそうに言い放つ。
違法性がないとしても、どうせろくなもんじゃないんだろうな。
K田「あ、そうそう。中身は決してみるな・・・とは言わない。
1度だけなら見てもいい。ただし、2度は見ちゃ駄目だ」
俺「え?見ていいんですか?」
K田「あぁ。1度だけならな」
俺「へー。でも、1度見たら、2度見る必要ないじゃないですか」
俺が答えると、K田さんは口元に笑みを浮かべながら答える。
心なしか、その笑みは、ちょっと不気味な感じがした。
K田「そうかな?1度見たら、2度目が見たくなるんだよ。ソイツはな」
俺はK田さんの話に頭をひねった。
見ちゃいけないといわれるのなら分かるけど、1度だけなら見てもいいとはなんとも不思議な話。
1度見たら、何回見ようが変わるものじゃない気がするんだけど。
俺「なんで1度だけなんですか?呪われるとかそんな話ですか?」
俺が笑いながら、K田さんに問いかけると、真顔でこう答えた。
K田「呪われたりするわけないだろ。そんな非現実的な話はないよ」
俺「ですよねぇ」
K田「単に死ぬだけだよ」
俺「へ?」
自分で言うのもあれだが、間抜けな声が出た。
な、なんとおっしゃいましたか。アナタ。
死ぬとか言いませんでしたか?
ていうか、やっぱり違法性があるんじゃねーか。
・ ・ ・
K田「冗談だよ。冗談。単なる嗜好品さ」
あんたが言うと冗談に聞こえないんですけど。
俺はそう呟くと、差し出された荷物を受け取り、
受け渡し先の住所と連絡先を聞いて、そのまま届け先に向かう事にした。
届け先は、都内某所の住宅街の一角にある普通の一軒屋だった。
特に怪しげな雰囲気もないし、怖そうな人が出てくる家でもない。
インターホンを押すと、住人らしき女性が現れた。
俺「すいません。あたーんと申します。K田さんより、
こちらに届けるように言われた品をお持ちしたのですが、F島様はご在宅でしょうか?」
女性「F島なら外出中です。大変申し訳ありませんが、1時間後に出直していただけますか?その品は、私がお預かりするわけにはいかない品物ですので」
俺「・・・それでは、また改めます」
気になる。中の品物はなんだろうか。
身内らしい人なのに預ける事すら出来ない品物とはなんだろう。
1度だけは見てもいいと言ってたしな・・・・
う~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん。
悩むぜ。
ちなみに、この荷物は見た目は20cm四方くらいの桐の箱を
風呂敷で包んであるのだが、持つとそれなりに重さがあり、中はまったく想像もつかない。
俺は近場にある喫茶店に入り、F島さんとやらの帰りを待つ事にした。
本当に1時間で帰宅するんだろうか・・・延々と待たされたら、たまらない。
俺は注文を済ませると、テーブルの上に荷物をおき、暇つぶしの小説を読み始めた。
すると、何やら異様な臭いがするので、目を上げると、置いた荷物から何かが染み出している。
風呂敷が濡れていて、やや黒味のある水のようなものがテーブルの上に広がっていく。
俺「な、なんだこれ・・・」
俺は、ティッシュで慌てて、テーブルの上に広がった黒い水のようなものを噴いた。
異臭がするが、そんな事は言ってられない。
俺は荷物を手に取ると、会計を済ませて、そのまま店を出た。
怪しげな液体がこぼれだした箱を目にして、ますます中身が気になりだす。
もしかして、中身が壊れて何かが出たのだろうか。
それとも・・・。
俺「中を見てみるしかねーよな」
俺は近くにある神社に赴くと、その境内で風呂敷の包みを解いた。
桐の箱を縛る紐を解き、箱の上側にある蓋に手をかける。
ごくり・・と唾を飲み込む音が聞こえる。
俺「い、いいよな。開けちゃって・・・」
一回は見てもいいと言われたし、もう引き返せない。
高まる緊張感を抑えて、俺は蓋に手をかけると、そのまま持ち上げ、中を覗いた。
次回に続く。
by atasakura
| 2008-07-31 15:49
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