元探偵が日常をだらだらとテーマに沿って書き綴る。旅行記になるのか、体験記になるのか、それはこれからの秘密だ。


by atasakura

カテゴリ:探偵物語( 16 )

久しぶりの探偵物語④

こんにちは。

本日はこの日記の続き。

この日記の続き。
久しぶりの探偵物語①
http://atasakura.exblog.jp/6495378/
久しぶりの探偵物語②
http://atasakura.exblog.jp/6506289/
久しぶりの探偵物語③
http://atasakura.exblog.jp/6609422/

報告書などを取られて、悔しい思いをしながら調査をしたわけですが
まさかの繋がりに俺は驚きを禁じ得ませんでした。

依頼人が信頼している友人が実は対象者と繋がっている。

ここから導き出される結論は推測にはなりますが、
対象者が依頼人の友人に頼み
そして、さくらを使って俺から報告書などを盗み出させたのでしょう。
依頼者から詳しい話を引き出しておけば、
頼んだ事務所や、誰が担当しているのかなど
そこからある程度の事は分かりますからね。

それを元に、俺の事を調べて近づかせたのでしょう。

恐らくはすでに、報告書の類は対象者に渡っているはず。
となると、間違いなく処分されてるだろうな・・・
いつまでも危ないものを置いておかないでしょうし。

調べたわけじゃないから、決定事項ではないけど、
可能性は低いだろうな。
悔しい、激しく悔しい。自分のミスだからこそ、余計に悔しい。

今さら繋がりを証明したところで、
あのデータが無いとどうにもならない。

依頼人からしてみたら、盗られましたなんて
言い訳にしかすぎないですからね。

俺は考えました。

どうすれば依頼人が納得できる結果をもたらす事が出来るのか。
対象者に新たな浮気相手を近づかせて、
それを抑えようかとも思いましたが
対象者はいじらないというのが事務所の方針。それはできません。

もはや依頼人には土下座でもして謝罪するしかありませんでした。

どうにもならないなと諦めの気持ちが湧き上がって着たときに疑問がひとつ。

俺を騙したさくらは何者だったのだろうかと。

別れさせ屋などの業者かと思いましたが、
報告書の強奪とかをやるとは思えません。
もしかしたら、対象者か依頼者の友人に
極めて近しいポジションにいる人間なのではと思ったのです。

対象者か依頼者が自分の別の女に頼んだとかも考えられますからね。

単なる友人かもしれませんが、そこはもう出たとこ勝負で。

こちらが調査しているのは対象者には伝わっていますから
当分は変な動きはないと判断したので、
俺は迷わず友人の方を調査開始。
依頼人には、事情を隠して、無料で延長調査を行なう事を申し入れました。
延長分は俺の給料から天引きですけど、仕方ない。

すると、すぐに結果が出ましたよ。

依頼者の友人の愛人が「さくら」でした。

ちなみにさくらですけどね。
俺の知人のイケメン(モデル)に頼み込んで、たらし込んでもらい
さくらがまだ隠し持っていた報告書などは、同じ手口で奪い返してもらいました。
どうやら、さくらはテープも報告書もコピーして隠し持ってたんですよね。
後でゆすりのネタにでもしようと思ってたみたいです。怖い女だ。

俺は対象者と会う依頼者の友人の映像などを依頼者に提出。
報告書が強奪された事も話さなければなりませんでしたが、
その事実よりも、信頼していた友人がすべて情報を流していた事の方が怒りが大きかったようで
その事は無かった事のようになり、運よく俺は助かりました。

しかし、女の子には本当に要注意ですね。油断も隙もない。

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by atasakura | 2008-01-11 15:33 | 探偵物語

別れさせ屋①

こんにちは。

今年の目標をひとつ。

日記は必ず最後まで終わらせる。
途中でやめたりしない by あたーん

-------------------------------
それでは本日の日記です。

あれは探偵をはじめて1年が過ぎた頃でした。
当時の所長から仕事の後に呼び出されて二人で飲みに行ったのです。
所長が俺を飲みに誘うなんて珍しい事でしたので、
嫌な話かとビクビクしておりました。

俺「あの今日は何か?」

所「あぁ。お前に頼みたい仕事があってな」

俺「え?俺に仕事ですか?」

所「あぁ」

俺はこの時点で、嫌な予感が頭をよぎりはじめていました。
普通は会社で上司が部下に仕事を頼むのに、
わざわざ飲みに呼び出す必要はありません。
職場で、言えば済む事ですからね。

俺「で・・どんな仕事なんですか?」

所「悪いね。知り合いから頼まれちゃってさ。うちは専門外だと言ったんだけどねぇ」

俺「探偵とは関係ない仕事ですか?」

所「完全に関係ないわけではないんだけどな。
要は俺の知り合いが奥さんと別れたいんだと。
だから、別れる理由として奥さんに浮気させたいというか」

俺「別れさせ屋ということですか」

所「早い話がそうだね」

嫌な予感がめちゃくちゃ的中ですよ。
専門外と聞いた時に嫌な予感がしたのですが、まさかそんな仕事が俺に回ってくるとは。

俺「あのですね。なんで俺なんですか?明らかに適切な人選じゃないでしょう?」

俺は魂の叫びを所長にぶつけてみました。
そりゃね、俺がイケメンで女慣れしてる男なら、そういうのは得意でしょう。
だけど、俺は生憎の非モテで女慣れなぞしておりません。
無理だ。絶対に無理だ。

俺「それなら所長の知り合いの外部の業者にでも頼んだらどうですか。その方が確実でしょう」

所「いやー・・・恩義ある人に頼まれたもんで、
金は要らないと言ったんでさ。あまり金をかけたくないんだよ」

どちくしょう。

俺「だから、ちょうど手の空いた俺で済まそうってことですね」

所「おう。ただし、失敗は絶対にするなよ。必ず別れさせるんだぞ」

うあ。死ぬほど難しい事をさらりと言いやがった。

俺「義理を果たすだけなら、失敗してもいいんじゃないですか?」

所「俺のメンツってもんもあるだろ?頼むよ。あたーん」

くっ。このタヌキ親父め。

俺「分かりました。やりますよ」

所「そう言ってくれると思ってたよ。特別ボーナスあげるからさ」

俺「金をかけたくないと言ってませんでしたっけ?」

所「お前に出す分くらいなら大丈夫」

こうして俺は別れさせ屋をやる事になったわけですが
果たしてどうやってやればいいのか、ちっとも分かりません。
俺は知人ならみな知る非モテなわけです。
なのに対象者となる奥さんの写真を見たら、普通に美人なんです。

清楚な雰囲気で、明らかに俺と釣り合わないタイプの人。

どうすんだ。どうすんのよ、これ。

まずは何事も行動しなければ始まらないので
この奥さんの日ごろの行動を徹底的に調査しました。
見た目と変わらず非常に真面目な人でして、習い事と家の事以外では
外出をする事もあまりなく、付け入る隙があまりない。

それにしても、この美人の奥さんで満足できないんですかねぇ。

俺なら間違いなく、一生尽くしてしまいそうですが。

あの手の人は誰がナンパしたところで上手く行きそうにありません。
自然な出会いを演出するしかなさそうなので、俺も奥さんの習い事に通う事にしました。
素敵奥様らしく習い事は料理教室でございます。

え?本業の探偵の方はどうなんだって?

所長には成功するまで帰ってこなくていいとか言われました。

切ない思いを胸に秘めて、俺は料理教室へと向かいました。
その料理教室はセレブ奥様が対象なため、男は俺1人です。

教室近くで時間を潰して、奥さんが到着した頃に俺もタイミングを見計らって一緒に入る。
この教室はキッチン1つを2人で使うので
隣のポジションを確保しないと、会話もままならないですからね。

上手く隣を確保すると、少し間をおいて挨拶をする。

俺「こんにちは」

奥「こんにちは。初めての方ですね?」

俺「えぇ。料理が苦手で、少し勉強しようと思いまして・・・」

奥「最近は男性の方も増えてますものね」

俺「そうなんですよね。今日から通う事になりますので、どうかよろしく」

奥「こちらこそ」

意外と簡単にコンタクトは成功したけども、親しくなるにはどうしようか。

男として意識させないといけないわけだし・・・

さて、少し頑張りますかね。

次回に続く。
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by atasakura | 2008-01-10 00:16 | 探偵物語

久しぶりの探偵物語③

こんにちは。

それでは本日の日記です。

この日記の続き。
久しぶりの探偵物語①
http://atasakura.exblog.jp/6495378/
久しぶりの探偵物語②
http://atasakura.exblog.jp/6506289/

まんまと、さくらに報告資料とデータを奪われてしまった。
安易に部屋に置いたままにしておいた俺も迂闊でしたが、
まさか報告書をデータもろとも盗まれるとは想定外でした。

依頼人に報告するに当たり、成果物が盗まれました、
ありませんでは話になりません。
報告をしなければならない日までに、
なんとしてでも報告書とデータを取り返す必要がありました。
そこで俺は少し気になる点があることに気付いたのです。

あの依頼を請け負った事務所がうちであるということ。
その依頼の成果物を俺が所持しているということ。
俺自身があの店でバイトをしているということ・・・etc

これらの事実を、何故さくらが知りえたのかというのが、この時点では謎でした。

原因を探らねば、さくらの素性も分からない今はどうにもなりません。
とりあえず俺は依頼人に接触して、
それとなく話を聞いてみることにしたのです。
依頼人が誰かに、この調査の事を話してしまい、
そこから調べられた可能性がある。

俺は所長に事情を話して、依頼人と接触する許可を得ました。
もちろん所長は俺の不手際に激怒しましたが、
それ以上に調査員の身元がばれて
取り返されたという事実の方がショックが大きかったようです。

俺は許可を得ると、すぐに依頼人に連絡をしました。

俺「こんにちは、今日は急にご連絡をさせていただいて申し訳ありません」

依頼人「どうしたんですか?今日は相談員の○○さんではないのですか?」

俺「いえ。少しお話を伺いたい事がございまして・・・」

依頼人「なんでしょうか?」

俺「今回の依頼を弊社に依頼するにあたりまして、どなたかにその話をされましたでしょうか?」

依頼人「1人だけ友人に話をしましたけど・・・まずかったですか?」

俺「いえ。まずくはないんですが、調査する上で、それが必要になる場合もありますので」

依頼人「そうなんですか?」

俺「素行調査の場合、一般的にあまり人には話しません。知られたくないという気持ちが働きますから。それを打ち明ける関係となると、大抵は親しくされておられる友人というケースが多いんです」

依頼人「はぁ・・・」

俺「それだけ親しくされているご友人ですと、色々と事情もお知りだと思いますので、第三者の目からの話ということで調査に役立てたく、必要であれば、少しお話を伺いたいなと。事情を知られているなら、話も聞きやすいですし」

依頼人「はぁ・・構いませんが」

俺「すいません。まだご友人の方にお話を伺うと決めたわけではございません。探偵が来ると聞いたら、身構えてしまう方も多いので、こちらが話を伺うと決めるまでは、この事は内密にお願いします」

俺は依頼人から、その話をした人物の連絡先を聞くと、
すぐに住所を調べ上げる。
調査は、他の調査員に引き続き任せて、
俺はそのまま、取り返し作業に入った。
すぐに友人の男の監視に入るが、
会社と自宅の往復以外は動きらしい動きはない。
特にさくらに繋がりそうな人物との接触もない。
残された時間は少なく、少しずつ焦りが募る。

だが監視を始めて3日目。

男が普段とは違う動きを見せる。
どうやら、どこかへ出かけるらしい。
タクシーを呼ぶと、そのまま世田谷の方に向かい、あるレストランに入る。
そこに現れたのは、依頼人の友人らしき男で、
当てが外れた感がぬぐえなかった。
現在の依頼が終わるまでには、
取り返す必要があるのだが、残る日付はあと2日。
さくらへと繋がる突破口は、まだ俺に残されているのだろうか。

その場で彼らが話をしていたのは1時間足らず。

依頼人の友人が立ち上がり荷物をまとめはじめた。
どうやらこのまま帰宅をするようだ。

どちらを追うべきか、少し考えた時に友人と入れ違いで
なんと今回の調査の対象者が店に入ってきやがった。
おまけにすれ違い様に、友人に楽しそうに話しかけている。

こいつら繋がってたのか・・・。

次回に続く。

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by atasakura | 2007-12-27 18:40 | 探偵物語

久しぶりの探偵物語②

こんにちは。

それでは前回の続きです。

俺の家に人を呼ぶのは想定外のため、
仕事に関する資料が部屋にはたくさんあった。
それらを見せるわけには行かないので慌てて、
部屋の中のものを片付ける。

俺「どうぞ」

さくら「へー。意外と片付いてるんだね」

俺「あまりその辺に触らないでね」

さくら「どうしてぇ?変なものでも隠してるのぉ?」

俺「違うよ。仕事道具とかあるから」

さくら「ふぅん。お店以外でどんなお仕事してるの?」

俺「適当に」

さくら「え?さくらバカだから、そんな風に言われてもわかんない」

俺「適当に想像しておいてよ。あまり話すつもりにならないし」

さくら「どうしてー?悪い事でもしてるの?」

俺「違うけど」

さくら「ならいいじゃん。聞かせて。ね?」

俺「人には言いたくない事もあるしね。普通にサラリーマンみたいな事してるよ」

さくら「そ。ま、いいか」

それだけ言うと、ぺたんとその場に座り込んで俺の方を見上げた。

さくら「お茶とか出してよ。さくらはお客さんだよ」

お前が着たいと言ったんだろうがという言葉を
口の中でかろうじて飲み込むとキッチンへ向かう。
面倒な人を連れてきてしまったと後悔する気持ちが浮かんでくる。

俺「あのさ、これ飲んだら、帰って・・」

俺がドアを開けながら、そう言うと、部屋の中にさくらがいない。

俺「あれ。どこ行った?」

さくら「わっ!」

俺が部屋の中心あたりに来た時に、急に隣の部屋からでて来て大声で叫ぶ。

俺「なんだよっ」

さくら「へへー。おどろいた?」

どうやら単に俺を脅かしたかっただけらしい。くそ。

俺「お茶飲んだら、早く帰ってよ」

さくら「えー。ヤダー。暇してるんなら遊ぼうよ」

俺「やだよ。明日も仕事あるし」

さくら「もう遅い時間なのに、女の子を1人で帰すわけ?」

めんどくさい女だと内心呟きながら、適当に返事をする。

俺「ならば送っていくから」

さくら「えー。いいよ。ここに泊まらせてよ。変な事しないでしょ?」

俺「はっ?」

駄目だ。まともに話していると調子が狂う。
俺はもう適当に相手をして、時間が来たら帰ってもらう事にした。
家に泊まられた日には、後で何を請求されるか分からないからな。

俺はこの時、まださくらの目的に気付いていなかった・・・。

この後に2人で、どれくらいの時間を話したのかよく覚えていない。
なぜなら気が付いた時には、俺は寝ていたらしく、意識が途切れている。
途中で、やたらと眠くなったのだけは覚えてはいるのだが。

時計を見ると、時間はすでに深夜3時を回っていた。
部屋の中にはさくらはおらず、どうやら帰ってしまったらしい。
ドアが閉められていたが施錠されていなかったからだ。
俺が寝たから、飽きて帰ったのだろうと思っていたのだが
ある事実が発覚したのは次の日の朝だった。

俺が調査中の報告書を依頼人に渡すため、荷物を準備していた時だった。

隣の部屋の机の上において置いた、報告書がなくなっていたのだ。
録画したビデオテープや、写真のネガまですべて無くなっていた。

置き場所を間違えたかと部屋中を探したのにどこにもない。

俺「無い。どこにもない」

俺が置き場所を間違えるはずもなく、
無くなるとしたら、さくらが盗んだとしか考えられない。
さくらの連絡先を知らない俺は、バイト先の店長に電話をかける。

俺「すいません。あたちゃんですけど、さくらさんに至急連絡取りたいんですけど・・」

店長「どうしたの急に?さくらさんなら昨日付けで退職したけど。」

俺「えっ?」

店長「急に夜中に連絡がきてね。辞めさせて欲しいって」

俺「連絡先だけでいいですから」

店長「それがねぇ。知らないのよ」

俺「ど、どうして?」

店長「履歴書を、まだもらってなかったのよ」

俺「普通は面接後に預かるでしょう?」

店長「一度は預かったんだけど、履歴書に不備があるから訂正して出す直しますって、最初に預かったのを返したのよ」

バイトに来たのは偶然じゃなくて、最初から俺に近づいて
とある案件の調査物をすべて処分するのが目的だった事にようやく気付いた。

俺「やられた・・・・最初から、そのつもりだったのか」

次回に続く。
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by atasakura | 2007-11-30 14:13 | 探偵物語

久しぶりの探偵物語①

こんにちは。

それでは本日の日記です。

あれは今から数年前の事でした。
探偵業を営みながら、休みの夜はBarで
バイトをする日々が続いておりました。
別に収入が少なくて、Barでバイトをしていたわけではありません。
単に人と普通に接する仕事もしてみたいと
思っただけだったんですけどね。

バイトをして、半年くらいが過ぎた頃に、
1人の女の子がバイトで入ってきたんです。
その子の名前は『さくら』という名前で、
見た目がやや童顔で非常に可愛い子でした。
それほどバイトが大勢いた職場ではありませんでしたが、
バイト仲間にも客にもすぐに受け入れられて人気者になっておりました。

俺は可愛いなとは思いましたが、
根っからの非モテ根性のため興味が湧きません。

非モテを相手してくれるわけありませんし、
探偵業の傍らのバイトですから
特に親しい人を作らないように注意をしていたからでもありました。

さくらがバイト先に入ってきて、1週間が過ぎた頃に、
バーテンダーとさくらと俺だけのシフトの日がありまして、
仕事を黙々とこなしていた俺に急に話しかけてきたんです。

さくら「ねぇねぇ。あたさんは、他の人とあまり話さないよね。どうして?」

俺「特に理由はないけど」

さくら「ふぅん。さくらと少しお話しようよ」

俺「どうして?」

さくら「お話したいからじゃ駄目?」

俺「・・・・別にいいけど」

俺が許可をしたのが嬉しかったのか、
それからはマシンガントークでした。
相変わらずゆっくりとした舌足らずな話し方ではありましたが
自分の事から、俺への質問など、
話し方とは裏腹にかなりの会話上手な子でした。

だからなぜ俺に話しかけてくるのか不思議でなりませんでしたが
バイト先で必要以上に警戒をするもありませんので、
適当に相手をしてたんです。

そしたら、急にさくらがこんな事を言い出したのです。

さくら「ねぇねぇ。家に遊びに行ってもいい?」

俺「はい?」

さくら「家に行ってもいい?」

俺「いや、急に言われてもさ。家に来ても面白くないよ」

さくら「面白いかどうかはさくらが判断するから。あたさんミステリアスだから、家とか興味ある」

俺「ふうん。来てもつまらないと思うけど」

正直に言うと、俺はこの時に面倒だなと思いました。
当時の俺は諸事情があり、家が3つありましたが、その日は
探偵業をしている時に利用している家のみしか使えない日だったのです。

俺「来るのは構わないけど、また別の日でいいかな?」

さくら「えーっ。やだー。今日がいい。なんで今日は駄目なの?」

俺「えーと・・まぁ、家が散らかってるしさ」

さくら「さくら気にしないよ。」

こんなやりとりが10分ほど続けられたでしょうか。
あまりのしつこさに俺も根負けしまして、家に来る事をOkしたのです。

俺「わかった。いいよ。だけど家の中のものはいじらないでね。仕事で使うんだから」

さくら「他に何か仕事してるの?」

俺「ちょっとね」

さくら「ふぅん。興味あるー」

俺「はいはい・・」


こんな他愛もないバイト先でのやりとり。

これが大事件に繋がるとはこの時は思いもしなかった。
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by atasakura | 2007-11-27 18:46 | 探偵物語

K田さん事件簿①-7

こんにちわ。

前回の日記の続きです。

「K田さんですか?」

「おー。どしたー?」

相変わらず能天気な声を出しやがる。
俺は死ぬかもしれない恐怖を少しだけ味わったというのに。
なんとも理不尽な感情を胸に抱きながら、そのまま話し続けた。

「今回のゲームなんですけど、降りてもいいですか?」

「んぁー。なんでー?」

どうやら寝起きのようで、少し寝ぼけた声を出している。
俺は手短に今までの出来事をすべて話した。

「へぇ。そんな事が起きたんだ」

「そうなんです。危険があるなんて思わなかったですよ」

「確かにそれは予想外だねぇ」

「でしょ?単なる過去の事件調査程度にしか思ってませんでしたから」

「俺の言う予想外はそういう意味じゃない」

「え?」

そう呟くとK田さんは何か思い当たる事があるのか
沈黙して考え込んでしまったようだった。
受話器の向こうから、「必然性?それとも?そうか・・そうなのか」と
考え事をしている時にそれが口をつく癖が聞こえてくる。

「分かった。それならば降りていいよ。残念だけど」

「あの・・・何かあったんですか?」

「どうして?」

「いや、降りるは降りるんですけど、何か考えてたみたいじゃないですか?」

「ちょっとね。事件の事なんだけど、予想外の方向に進んでしまったもんでね」

「はぁ」

「もう犯人は見つからないよ。きっと。真相は闇の中だ」

「え?今の話のどこからそれが?」

「さっきの話の中で、家の中にいた人の事だけど、たぶんソイツが犯人」

「えぇぇぇぇぇぇ!?」

「なんで分かるんですか?」

「確定事項じゃないけどな。こちらが動いたのに気付いたから、処分しに行ったんだろう」

俺にはK田さんの言ってる事が良く分からなかったけど
とりあえず事件は無かった事として処理をされてしまったらしい。
もう少し詳細を深く突っ込んで聞いても良かったのだが
変に絡んで、やっかいな事になっても困るので辞めておいた。

「1つだけ聞いてもいいですか?」

「なに?」

「冷静に考えれば5人も死ねば大事件ですよね?」

「そうだね。世間一般的には」

「いくら死体が見付からなくても、ニュースにくらいはなりそうなんですけど」

「じゃあさ、世間の定義で言う【死んだ】という言葉が、その5人に当てはまらないとしたら?」

「え?」

「そしたら、それはもう事件じゃないよな」

「死んでないんですか?死んでなくても行方不明にはなってるわけですよね??」

「書類上は正しく、処理されてれば行方不明にもならない」

ますます意味が分からなくなってくる。

「結局は5人は死んでるんですか?生きてるんですか?」

「さぁな・・・死んでるとも言えるし、死んでないとも言える」

「気になるじゃないですか」

「気にしておけ。どちらの言葉も5人には当てはまるのさ」

「意味が分からないですよ」

「それくらいが、ちょうどいい。偽者が本物に摩り替わった。それだけだ。
自分でもう一度考えてみろ。正解が分かったら、例の金をやるよ」

プツッ。

電話切られた・・・。
K田さんが俺に持ちかけた謎の事件の解明はこうして終わりを告げたのである。
5人は死んでいるが、死んでいない。
行方不明だが、社会上の通念では行方不明ではない。
ニセモノがホンモノに摩り替わった。

いくつかの謎の言葉を残して、K田さんは話を終わりにした。
俺に宿題として、ヒントだけ与えたのか、それとも終わりにされたのか。
いまだによく分からないけども、この案件から1年後にK田さんは失踪をした。

彼の謎の失踪は、また違う事件を引き起こすのだが
それはもっと後の話。

K田さんの事件簿②に続く ←こちらは、またいずれ。
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by atasakura | 2007-11-05 12:20 | 探偵物語

K田さん事件簿①-5

こんにちわ。

それでは前回の続きです。

あの家に舞い戻った俺は、家の中で人が倒れているのを発見した。
近づかずに、「大丈夫ですか?」と声をかけるが、反応はない。
日が入り込まないため、薄暗く、体が動いているのか分からない。
俺は慎重に歩み寄ると、 倒れている人影を見下ろした。

うつ伏せに倒れているのは男性で、あまり若さは感じない。
どうやら身体がかすかに上下しているのを見ると、生きているようだった。
「ふぅ・・」俺は安堵のため息を漏らす。
空家で遺体発見だなんて、何かと警察への説明が面倒だからだ。

俺は再び「大丈夫ですか?」と声をかけるが、やはり反応はない。

とりあえず仰向けに抱きかかえて起こすと、
気づいたのか、「う・・」と声が漏れる。
素早く男の全身に目を配るが、怪我をしている様子は無さそうだ。

「あ・・・」

完全に目を覚ました男が俺を見る。
年齢は50に差し掛かるくらいで、
白が入り混じった髪と、高そうな服が育ちのよさを感じさせた。
男の顔は、写真立てに飾られていた父親の顔だった。

(生きていたのか?)

だが、写真立ての父親は2人いるわけだから
K田さんから貰った写真に写っていた男が被害者だったのだろうか。

「大丈夫ですか?立てますか?」

「あ・・あぁ」

「どうして、こんな所に?」

何が起きたのか分からないのか、周囲を伺っている。

「あの・・・私はどうしてここに?」

「え?」

それだけ言うと、男は沈黙する。

「いや・・それはこちらがお伺いしたいです。
あなたは、この家に5年前まで住まれていた○○さんですよね?」

俺の問いかけに男は何か言葉を発しようとするが声にならないようだった。
少し頭を軽く振ったかと思うと、困惑した顔で男は言葉を発した。

「・・・・自分は誰なのでしょう?そしてあなたは?」

「え?どういう意味ですか?」

「分からないんです。自分の名前が出てこないんです」

もしかして記憶喪失なのだろうか、男は焦燥した表情でうなだれた。

「何か覚えている事はありませんか?住んでいた場所とか、なぜここにいたのかとか」

男は頭をふると「分かりません」とだけ答えた。
嘘を付いたり、隠したりしている様子はあまり見受けられない。

「とりあえず病院へ行きましょう。
なぜここで倒れていたのかは分かりませんが
身体のどこかに異常がありましたら、大変ですし」

「いや・・しかし・・大丈夫ですから」

「いやいや・・・倒れてたんですよ?」

「・・・・・・。」

家の中で倒れていた男が写真の男だったというのは
偶然にしては出来すぎているくらいで少し驚きを感じ得なかった。
とりあえず、家の中にあった写真立ての男は被害者ではなかったわけだ。
すると5人の被害者のうち、1人はK田さんの写真に写る男のほうなのか。

とりあえず、その辺の事情も詳しく聞き出したいのだが
記憶喪失が本当ならば、あまり期待は出来なさそうだ。
そろそろあまり深入りをしたくない気持ちが芽生えてきているのも事実。
この人の対応をしたら、K田さんに連絡をして、この件からは引き上げよう。

「すいません。いま、救急車呼びますので、そこにいてもらえますか?」

俺は居間の壁にもたれ掛かっている男に
声をかけると、携帯を取り出した。
救急車を呼ぼうとしたが、その前にK田さんに連絡を取る事にした。
あの様子なら、多少は呼ぶ時間が遅れても問題はないと判断したからだ。

コールすると、すぐにK田さんが電話にでる。

「どうした?」

「あのですね。ちょっと聞きたい事がありまして・・・」

「なに?」

「例の件で現場に来てるんですけど、そこでですね・・・」

俺がそこまで喋った所で、視線を背後にやると、男がいない。

「!?」

「どうした?」

「ちょっと待っててください」

俺は居間に戻り、確かめたが姿が見えない。
再び居間から通路に出て、受話器に口を充てた。

「どうしたのよ?」

「人が倒れていて、休ませてたんですけど、いなくなってるんです」

「人が倒れてた?」

「そうなんですよ」

俺がそこまで話した時だった。

シュー・・・シュー・・・

あの呼吸音が背後から響いてくる。

「・・嘘だろ?」

振り向かずに呟く。

人の気配とミシリと居間の畳が軋む音がした。

シュー・・・シュー・・・

再び背後に響く不気味な呼吸音が俺の未来を物語っているようだった。

次回に続く。


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by atasakura | 2007-10-26 09:27 | 探偵物語

K田さん事件簿①-4

こんにちわ。

それでは前回の続きです。

家を思わず飛び出した俺は、後ろを見ずにそのまま走り抜けた。
どれくらいの距離を走ったのだろうか、一息ついたところで振り返ると
背後には日が落ちて暗闇が広がるだけだった。

冷静になると、あそこでもう少し踏みとどまり
相手を確認した方が良かったような気もするのだけど
万が一の危険を考えて逃げたのは正解だったかもしれない。

俺はポケットから、携帯を取り出し、そのままメモリーから
K田さん宛てに連絡を入れた。

「はい」

「K田さんですか?俺です」

「もう犯人分かっちゃった?」

「まだです。そう簡単に分かりませんよ」

「なんだ。期待したのに」

「ちなみに、この件はどうして新聞にすら載ってないんですか?」

「なんでだろうねぇ。気になるなら調べればいいじゃない」

「それとですね。例の家に行ったんですけど、先客がいましたよ」

「へぇ。」

「あの家は誰もいないんじゃないんですか?」

「いないよ」

「じゃ、誰なんですか?」

「それを調べるのが君の仕事でしょう?」

駄目だ、話しても埒があかない。のらりくらりと逃げられる。

「じゃ、自分で調べますよ」

俺が少し強い口調で電話を切ろうとすると、K田さんが言った。

「あーあー・・そうすねないでよ。大の男がすねても可愛くないよ」

「すねてません」

「しょうがないなぁ。じゃ、ちょっとだけ、ヒントを挙げるよ」

「あの家の中に入ったのなら、飾られてた写真たては見たろう?」

「ええ」

「渡した写真と違う箇所があったよね?」

「はい。家族の父親と思われる人物が一致してませんでしたけど」

「そこがキーになるんだよ。後は自分で考えようね。それじゃ」

そういうと、K田さんは電話を切りやがりました。
俺はその写真を頼りに、被害者の方が
勤めていた学校へと向かったのです。
直接、学校の中で、話を聞くのは色々と問題もあるので、
出てくる生徒に聞き込み。その結果、驚くべき事が判明した。

K田さんに渡された写真に写る父親。

家の中に飾られていた写真に写る父親。

そこの生徒が指し示した被害者は
K田さんに渡された写真に写る父親だった。
ということは、あの家に飾られていた写真は
被害者とされている人物とは別人ということになる。
じゃ、なぜあの家に飾られ、
そして被害者とされているのか意味が分からない。
隣人の主婦もK田さんの写真を被害者の父親として指した。

それならば写真立ての中央に写る人物は誰なのだろうか。

そして、なぜあの家族と同じ構図で、同じ場所で写っているのだろうか。
念のため、もう1枚の写真も見せたが、誰も心当たりはないようだ。

被害者は、近所付き合いは良かったようだが
それ以外の人付き合いはそれほどなかったようだ。

完全に足取りが途絶えてしまった。

家に出入りしていた女性の影も掴めない。

仕方ない・・・またあの家に行くか。
正直に言うと、あまり気は進まないが、話が進展しない以上は仕方ない。
念のため、自分の身を守るものとして、催涙スプレーなどを所持しておく。
また夜は、危険なので、日中にあの家に入ることにした。

そして、再びあの家の前に立つ。

俺は、再び玄関で鍵を使い、家の中に入る。

家の中は前回と変わりはない。
相変わらず人の気配は感じないが、前回と違う点が一箇所。

俺の目の前には、人が倒れていたのだ。
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by atasakura | 2007-10-22 18:49 | 探偵物語

K田さん事件簿①

こんにちわ。

前回の続きです。

事件現場の調査をしていた俺は、人の気配がある事に気づいた。
人が住んでいないはずの家で、俺以外の人はいるはずはない。
なぜなら、入り口の鍵は閉めてあるはずだし、他からはいる余地はない。
最初から潜んでいたのなら別だが、家の中の様子からして
誰かが潜んでいた気配はまったくなかった。

(誰か入ってきたのか・・?どこから?)

俺は高鳴る動悸を抑えて、リビングの出口にゆっくりと足を進める。
相手が俺に敵意を持っているのかすら
分からない状況なので壁伝いに慎重に近づく。
リビングの入り口近くの壁に背を預けると、
壁越しに人の気配が伝わってくる。
背を預けてる壁の裏側に当たる通路部分に誰かがいるわけだが、その姿は見えない。

かすかに聞こえてくるのは「シュー・・・シュー・・・」という呼吸音のようなものだけ。

声をかけるのもためらうほどの緊張感が全身を走る。

向こうも俺がリビング内にいる事に、当然のように勘付いてるはずで
何もしてこない事が逆に俺に恐怖を感じさせた。

「誰かいるんですか?」

俺は擦れた声で、呼びかけた。

だが、反応はない。

「いる事には気づいてます。この家の関係者の方ですか?」

それでも反応はない。壁越しに「シュー・・シュー・・」と
規則正しい呼吸音のようなものが聞こえるだけだ。
このまま向こうの出方を待とうとも考えたが、
いつになるか分からない相手の動きを待ち続けるほど、俺は暇じゃない。

思い切って、こちらからリアクションをかけようと俺が一歩足を前に踏み出した時だった。

ぐじゅっ・・・。

「うぉっ!」

俺は慌てて前に踏み出した脚を引いた。

偶然なのだろうか。

俺が前に足を踏み出した瞬間に、向こうも足を前に踏み出したのだ。
壁越しだから、距離にしたら1Mも離れていない。
まるでシンクロするかのように、壁越しの2人が足を踏み出したのだ。

俺の慌てた声を聞いたのか、向こうも飛び出すのを止めたようだ。

再び、「シュー・・・シュ・・」と呼吸音だけが聞こえてくる。

「誰なんですか?そこにいるんでしょ?」

相変わらず返事はない。

ただ、グシャと何かを踏み潰す音だけが返事として返って来た。
どうしてなのか分からないが壁越しに対峙しているだけで
ものすごく精神的に疲れるのは、この部屋のせいなのだろうか。

思わず俺は飛び出すタイミングを失ってしまった。

(悪いけど、このまま逃げさせてもらうよ)

正体を確かめたかったが、得体の知れない誰かと接触するよりは
この場はこのまま姿を消した方が無難なようだった。
そのまま静かに後ずさりをすると、リビングから外に繋がる窓をそっと開ける。

後ろを振り向くと、日が落ちてきたのか、
リビングから見える通路は闇に包まれていた。
かすかに差す光の加減で、通路の地面だけが見えている。

俺はそっと窓から出ると、一度だけ後ろを振り返る。

そこには、リビングの入り口に立つ、男性らしき人影が見えたが、足元しか見えなかった。

(うっ・・・)

思わず走り出し、入り口前の門から飛び出す。
俺の耳になぜか、あの呼吸音がこびり付いて消えなかった。

次回に続く。『見えてきた真相』
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by atasakura | 2007-10-19 18:28 | 探偵物語

K田さん事件簿①

こんにちわ。

またもや前回の続き。

K田さんより言われた”暇つぶし"
それは迷宮入りした事件を解決に導く事だった。
単なる暇つぶしに金を出す酔狂な人なんだけども、
イマイチ目的が分からない。
本当に彼の暇つぶしなのか、それとも真相が知りたいのか。

あの話しぶりだと、何かを知っていそうな気もするし
殺人だと断定した時の「本人に聞いたから」という言葉も気になる。
そこだけ聞くと、オカルトか、
現場に居合わせたのかどちらかしかないんだが。

ま、その辺は深く考えないようにする。
しょせん俺には、彼の奥底は見えやしないのだから。

調査の結果、いくつかの事が確認が取れた。

・5年前までは、問題の家族があの家に住んでいた
・事件発生前日に、何やら悲鳴のようなものが聞こえた
・いなくなる2ヶ月ほど前から、頻繁に20代後半くらいの女性が出入りしていた

情報が少なすぎる。これだけだと何がなんだか分からない。
5年も前の話だし、それほど周囲の人も気に留めてたわけじゃないから
記憶も曖昧だし、そこまで聞き出すだけでも一苦労だった。

頻繁に出入りしていたと思われる女性が気になる所だが
20代後半の女性というだけでは、あまりにも情報が少なすぎる。

この家に住んでいた家族達の交友関係を当たるのも1つの手ではあるが
別件で調査をしてる合間に、これをしてるわけだから、一ヶ月といわれても
予想以上に時間は少なかったりするのだ。

すでに5年が経過しているので、今さら現場を見ても何もないかもしれないが
やはり1度は現場を確認しておきたいろだ。
だが、新聞にも掲載されない事件という事は、
当然のように死亡確認もされていないはず。
すると、まだこの家の所有者は、被害者達のままなはずで
侵入しているところが誰かに見られれば、不法侵入で通報されかねない・・・。

ま、いいか。

その時はその時で考えよう。

K田さんが、この家の鍵を渡してくれたのも、入れということだろう。
彼の事だから、この家を購入済みとか、手は回してくれているに違いない。
俺は玄関の鍵を開けると、土足のまま家の中に入った。
もちろん日が差しておらず、薄暗いために、ペンライトは忘れない。
念のため、誰も入ってこないように開けた鍵を内側から閉めておく。

室内はかび臭い匂いに包まれていて、空気が澱んでいる。
人がしばらくは、この中に入っていない証拠でもある。
外の手入れの良さとは裏腹に、家の中はやや荒れ果てていた。

「外とはえらい違いだな・・・」

俺は現場とされるリビングへ向かい、中に足を踏み入れた。
まだ夕方とはいえ、事件現場に1人でいると思うと、
あまり気持ちいいものではない。
5年過ぎているわけだから、手がかりは無いに等しいとは思うのだが。

現場は、事件後に誰かに片付けられたのか、特に何も痕跡はなかった。
部屋の片隅にあるテーブルの上に置かれた写真立てに、
家族5人が楽しそうに写る写真があるだけだ。

「手がかりなしか・・・特に期待してたわけじゃないけど」

誰にともなく呟く。
振り返り部屋を出ようとした時に、俺はある事に気づいて
テーブルに再び近寄り、写真立てを手に取った。

俺はK田さんに、渡された写真とバックから取り出し見比べる。

「違う・・・」

K田さんに渡された家族5人の写真。

写真立てに飾られている家族5人の写真。

そこには1点だけ違いがあった。

それは、写真中央に写る父親が別人だということ。
他の4人は同じ人なのに、父親だけがなぜか違う。

俺はその写真立てをバックにしまい、部屋を出ようとした時に気づいた。

「―誰かいる・・・」

俺がいるリビングの外で動く人の気配を感じたのであった。

次回に続く。

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by atasakura | 2007-10-17 17:59 | 探偵物語